FX/CFDによるヘッジ、ブル・ベア相場について
投資戦略コラム第2弾です。前回の話は「資産の分散」について、でした。
簡単にご説明すると、株・債券・商品先物など組み合わせてポートフォリオを作り、相場状況に応じて保有資産の配分をコントロールする事によって、安定的な投資が可能になる。このような話でした。今回は、投資戦略2「FX/CFDによるヘッジ、ブル・ベア相場について」。まずはブル・ベア相場について。
ブル相場(bull market)・ベア相場
上げ相場の事をブル相場と言います。これは牛(ブル)のように、角を突き上げて攻撃する様子をイメージしてそう名付けられています。
対して、ベア相場(bear market)とは、爪で掻き下ろすように攻撃する様からのネーミングで、下落相場の事を言います。
そして多くの投資家はブル相場の時に利益を出し、ベア相場の時に損失を出します。なぜかと言うと、基本的に株も投資信託も買い方面の投資だからです。
下落相場で利益を出すためには、株なら信用取引、投資信託ならベア型投資信託で取引する必要がありますが、ほとんどの投資家が上昇相場で取引しています。そのため、信用取引などで売りから入って安値で買い戻さない限りはブル相場(上昇相場)で利益が出て、ベア相場(下落相場)で損失になります。
下落相場で利益を上げているのは、先物、オプション、FX、CFDなどのトレーダー達。私はこちらのタイプの取引をメインで行っているため、株や株価指数が暴落したからと言って特に慌てる事はありません。
株からスタートした方の多くはブル相場で勝負し、FXから始めた方はブル相場でもベア相場でも勝負します。
この投資スタイルの違いには値動きの特性も大きく関係しているように思います。というのも、自国通貨と外国の通貨がどちらか一方のみが高くなり続けた場合、国同士のバランスがおかしくなりますよね。そのためFXには上も下もなく、「伸びれば戻り、戻ればまた伸びる」という値動きになりがち。
別の言い方をすれば、利益確定のタイミングが非常に難しいのがFX。その代わり買いも売りも自由自在で、動けばどちらでも良いという考え方をします。
そして株は基本的には買っておいて値上がりを待つという性質柄、誰かが株を手放して下落するまでは伸びやすいというわけです。一方的な長期の上昇相場にはなりやすいですが、下落が始まると多くの投資家が一気に逃げ出して、急激な下落になる事もあります。
このような違いがあるので、下落相場に上手く対応するためには「信用取引、先物、オプション、CFD」などで取引すれば良いのです。
マイナスになる値動きを買いも売りも出来る取引でカバーする。またはマイナス局面で伸びやすい市場を(買いの方面だけで行くのであれば)ある程度保有しておく事で、マイナス分を相殺したり、時には利益の時間帯に変えてしまう事が出来るのです。
相対的な価値変化を読み解く!
イレギュラーが多々あるのが相場ですが(笑)、基本的には
「債券と株は逆方向へ動き、金利が高い通貨が買われて、リスクオンの時に株価は上昇しリスクオフの時に金相場などにお金が流れる」事になります。
金利は債券市場にも為替市場にも株式市場にも大きな影響を与えます。
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金利の変化には敏感である必要があります。
為替のヘッジ
為替では円高円安、ドル高ドル安を最初に確認します。
対円価値や対ドルの価値変化をよく見ておく必要があります。
例えば、「投資信託で海外の債券が含まれる商品を買えば為替の変動に大きな影響を受ける」事になるのですが、この理由は円高局面でマイナスの影響を受けてしまうから。
海外の商品をポートフォリオに組み込むのなら、為替の影響をよく考える必要があります。
→円高の時に「為替ヘッジあり」の投資信託を買っておく。これとは逆に、円安の時には「為替ヘッジなし」の投資信託を買っておくと、為替の変動による利益が加わり、良い結果が得られるでしょう。
または、この時ドル円の売りポジションを持っていればヘッジになります。為替で大きな変動があれば、FXで利益を出したり、為替変動リスクを避ける事が出来るのです。円高になるか円安になるかで、投資信託の結果も多少変わってしまうのですが、FXでドル円のレートを熟知していれば、この点は簡単にクリア出来ます。
リスクオフや下落相場のヘッジ
次は景気から来る影響を考えてみましょう。
景気が良い、悪い、とよく言いますが、相場の世界では「リスクオン」か「リスクオフ」か。
リスクオンはリスク選好。リスクを取って利益を狙うという市場の雰囲気の事です。
リスクオフはリスク回避。リスクが高まっており、極力安全な資産を保有しておこうという雰囲気です。
リスクオンの時には、株が買われ、債券や金が売られると”一般的には”言われます。安全志向の債券や金を手放して、株を買う人が増えるという事ですね。
ただしこれは一般論であり、景気が良くても金が上昇する事はあります。景気の移り変わりによって常に変化しているので、金と株が一緒に上昇する事はもちろんあります。それに上昇するチャート形状であれば上昇するし、そうでもなければ一般論の通りになるかも知れません。金の値動きは、CFDで金のチャートを分析出来れば分かります。
チャートが優れており、重要な商品先物や株価指数を分析出来るのがCFDなので、少なくとも市場を分析する時には利用して頂きたいと考えています。
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CFDは株価指数や商品先物などをほぼ24時間取引出来る金融商品です。「contract for difference」の略ですが「差金決済取引」という意味。 手数料も少なく、インデックス投資としてCFDはかなり都合が良いでしょう。 またはデイトレードなどの短期トレードにおいても取引しやすいのがこのCFDです!
CFDのチャートを利用しよう!
マーケット全体を分析したい時、個別の株は無数にあるのでどれを見たら良いか困りますよね(笑)。
となると、何を見たら良いのでしょうか?
アメリカの株価指数を見ていれば大体のマーケット全体の方向性は掴めます!
ナスダック、NYダウ、S&P500。
この3つが上昇すれば、日経平均もTOPIXも方向としては上(伸び率は違っても)という傾向にあります。日経平均とTOPIXが上がるという事は日本の株式も下落する市場より上昇する市場の方が多いという事ですから、アメリカの株価指数をまずは抑えておく必要があります。
アメリカの株価指数がこれから上昇するか下落するのか。
その先読み、または現状の方向性の把握をするためには、CFDのチャート分析が有効です。
TOPIXはあまりCFDでは見ませんが、日経平均はメジャーなCFDの市場でもあります。※その他に日経平均先物を取引される方も多いですよ。
CFDでは主に取引されるのは海外の株価指数。先ほどの「ナスダック、NYダウ、S&P500」の取引も出来て、もちろん優れたチャートで分析出来ます。
※TOPIX(東証株価指数)は先行系列の一つ。
景気が良くなってからではなく、景気が良くなる前提で、今後を見越して上昇するものの代表として国が景気動向指数に加えています。つまり、現在の景気ではなく、今後の景気を見越して先に上昇する。「景気が良いのに下がっている、景気が悪いのに株価が上昇している。なぜだ?」と思われる事もあるでしょうが、それは先行指数だからとも言えますね。
CFDの取引とFXの取引を始めるには?
国内のCFDやFXならクリック証券や楽天証券、海外FXではXMのチャートなどがオススメ。
※CFDが使える証券会社比較は、姉妹サイト「投資の基礎はタダで学べ(口座開設方法)」に書きました。
このCFDで見ておくべきなのはNAS100(US100)、US30、US500、JP225、GOLD(XAUUSD)、US(USOIL)あたり。チャートは、MT4かTradingvewをご利用頂くのが良いかと思います。
FXとCFDで、ドル円や金、ナスダックなどの米国株価指数のチャートに慣れておく事が相場分析ではかなり重要だと私は考えています。それは為替ヘッジや株価下落時のヘッジのため、そして今後の景気の見通しのためでもあります。
私の場合は、トレード畑なので(笑)結局はこの結論にたどり着いてしまうという事でしょう。大体、FXとCFDのトレードというのはこのような具合です。
そして、投資信託や株を取り引きされる方にも、特に役に立つのがCFDによる株価指数の分析です。チャートの性能が良く、日経平均先物よりも詳細です。そしてナスダックなども分析出来ますので、分析はCFDのチャートでやるというのも一つの手です。
次回は、このFXとCFDについて掘り下げてみます。
投資戦略コラム第3回目は「FX/CFDによるチャート分析手法」について。
お楽しみに!
まとめ
- リスクオンはリスク選好。リスクを取って利益を狙うという市場の雰囲気。ブル相場!
- リスクオフはリスク回避。リスクが高まっており、極力安全な資産を保有しておこうという雰囲気。ベア相場!
※ブルベア相場とリスクオンオフは必ずしも一致しません。